第50章

嘘をつかなかったとは、意外だな。

午後になると、警察が直接玄関先に現れ、証明書を提示してから彼女に尋ねた。

「あなたは前田南さんですか?」

前田南は一瞬戸惑った。

「はい、そうです!」

山口玥は玄関で会話する声を聞き、顔を覗かせた。

「南、誰?」

「何でもないよ」

前田南は彼女に心配をかけたくなかった。

だが山口玥はそのまま出てきて、制服姿の警察官たちを見ると表情が曇った。

「あなたたち、私の娘に何の用があるの?」

警察官は淡々と言った。

「村上美咲さんの被害に関する件で、前田さんに少しお話を伺いたいのです」

「ネットの噂なんて信じられるわけないでしょう。実際に見た...

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